虹谷芙花(にしたにふみか)です。
「彼は特殊な性癖を持っています。でも、それは私への愛から来ているのでしょうか?それとも単なる自己満足の欲望なのでしょうか?」というご相談を頻繁に受けます。
SM、露出、寝取られ(NTR)といった特殊な性癖は、社会的なタブー視から、パートナーに不安や恐怖を抱かせがちです。
ですが、結論から言えば、特殊な性癖は「愛」になり得ます。
愛と欲望の境界線は、行為そのものではなく、「あなたへの接し方」と「関係性の土台」によって決まります。
この記事では、特殊な性癖にまつわる「愛」と「欲望」の境界線を明確にし、あなたが彼の行動の真意を理解し、お二人のパートナーシップをより深めるための具体的な視点をお伝えします。
特殊な性癖の裏側にある「深層心理」
特殊な性癖は、表面的な行為だけを見ると「単なる欲望」に見えるかもしれません。
しかし、その根底には、「パートナーとだからこそ共有したい」という、深い願望が隠れていることが少なくありません。
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SM (サディズム/マゾヒズム): 「支配/服従」という非日常的な役割を通して、深い信頼関係を確認し、日常の役割から解放されることで、より強固な結びつきを求めている場合があります。
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寝取られ/覗き (NTR/ヴォワイユリズム): 二人の絆が強固であると確信しているからこそ楽しめる、「安全なスリル」。愛するパートナーと「禁断の興奮」を分かち合いたいという、強い承認欲求の表れであることもあります。
この場合、彼が本当に求めているのは、単なる行為ではなく、あなたとの関係の中でしか得られない「非日常感」や「深い結びつき」なのです。
特殊な性癖における愛の土台:健全な関係の4原則
特殊な性癖(BDSM*1/SMなど)が「愛の形」として成り立つためには、一般的な恋愛関係の信頼関係に加え、いくつかの「健全なルール」が不可欠です。
これらのルールを守れているかどうかが、あなたの彼が「愛」をもって向き合っているかを判断する最初のチェックポイントとなります。
健全なBDSM/SMの関係性の土台となる4原則は、「欲望のままの行為」と「愛ある非日常」を分ける明確な基準です。
*1:BDSMとは、Bondage(拘束)、Discipline(調教)、Sadism(サディズム)、Masochism(マゾヒズム)のこと。
1. 同意 (Consent)とC.S.Z.原則
性的な行為は、決して強要やサプライズであってはなりません。
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C.S.Z.(Consensual Safe Sane: 同意の上で、安全に、正気で)の原則が大前提です。
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事前の話し合いと合意(Consent)が必須。境界線を明確にし、合意の範囲内でのみ行うことが愛の証です。
2. 安全性 (Safety)
愛は、常に相手の心身の安全を最優先します。
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肉体的、精神的な安全を最優先する。
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パートナーが危険や不快を感じたら即座に中止できるよう、「セーフワード」を設定し、その言葉が出たら問答無用でプレイを中断する。これは、信頼関係における最も重要なルールの一つです。
3. 衛生管理 (Hygiene)
愛ある関係は、お互いの健康に配慮します。
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特に体内に挿入するものなど、道具の使い回しは感染症のリスクがあるため、使用前後の徹底した洗浄・消毒が常識です。
4. 敬意 (Respect)
プレイ中であっても、日常に戻った後も、パートナーを一人の人間として深く尊重すること。
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決して相手をモノや道具として扱わず、その労力や感情を利用しないことが、真の愛の表れです。
愛か単なる興味か?境界線を見極める3つの視点
4原則が守られていることを大前提として、さらに彼の行動に「あなたへの愛」が伴っているかを見極める必要があります。
以下の視点に着目してください。
【視点1】「対話」を求める姿勢があるか
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愛のサイン: 4原則を守るために、事前の話し合いだけでなく、事後のケアや感情の共有を必ず行い、あなたの不安を丁寧に聞き取る。
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欲望のサイン: 自分の要求だけを話し、相手の不安や「セーフワード」の背景にある感情を無視する。
【視点2】性愛以外での「愛情表現」が豊かか
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愛のサイン: 性癖と関係なく、日々の感謝や気遣い、精神的な支えなど、敬意(4原則)が日常にも見られ、二人の関係に貢献している。
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欲望のサイン: 普段の生活で優しさや愛情が見られず、性的な要求時だけ熱心になる。性癖が満たされないと、敬意に欠けた態度(不機嫌、無視など)を見せる。
【視点3】あなたの「安全と安心」を最優先しているか
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愛のサイン: 4原則の「安全性」を最優先し、プレイの興奮よりも、あなたの体調や精神状態を気遣い、事後の安心感の提供を怠らない。
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欲望のサイン: 自分の興奮のために4原則を破り、あなたが嫌がっても強引に続けようとしたり、許可なくするなど、相手の不安や不快感を軽視する。
性癖を通して「愛」を育むためのヒント
もし、彼が4原則を理解し、3つの視点でポジティブなサインが見られるなら、その性癖は愛の形になり得ます。
二人の関係をさらに深めるために、以下の行動を試みてください。
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感情の「言語化」を促す: 「なぜそれが好きなのか」の裏にある感情(例:安心感、支配欲、解放感)を、彼に言語化してもらう。性癖の「行為」ではなく、その「感情」を理解することが愛に繋がります。
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非性的な愛情表現を忘れない: 特殊なプレイ後や日常で、ハグ、キス、感謝の言葉など、「あなた自身を愛している」というメッセージを意図的に伝える時間を確保しましょう。
彼の性癖は「あなたへの愛」になり得る
性癖は、彼の個性の一部であり、その表現が愛に繋がるかどうかは、彼の「あなたへの接し方」と「4原則の尊重」にかかっています。
もし、あなたが不安を抱えているなら、まずはこの記事の【4原則】と【3つの視点】を参考に、彼とオープンな対話を試みてください。
「私は行為そのものが嫌なのではなく、私への愛があるのか不安なの」
この一言が、彼にとっても、あなたにとっても、愛を再確認し、二人の関係をより深く、強くするきっかけになるはずです。
彼の特殊な性癖は、二人だけの特別な「愛の形」になり得ます。
あなたが彼と、ますます愛を深められますように。